緑のカテドラル
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ケヤキの街路樹を見ていたら、以前読んだ本(※)のことを思い出しました。
その本には、
「ゴシックの大聖堂は、大自然の反映という側面をもっている。」「そこは深い森の世界である。身廊から内陣にかけて左右に立ち並ぶ高さ二十メートル有余の石の柱たちは、大開墾運動の中で消えつつあったブナ、ナラ、カシワなどの形象化にほかならない。そして石柱頂きの起拱(ききょう)点から天井にかけて放射状に伸びる交差リブや横断アーチの曲線は、それらの高木のしなやかな枝の流れを表している。…」
とありました。
まあ、裏表のない郊外の街路樹の風景ですから、中世の人々のように畏敬の念など起こるはずもありませんが。
※酒井健著 ゴシックとは何か—大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)

