「浮世絵から写真へ」展を観る

浅草橋に行ったついでに江戸東京博物館へ足をのばした。
あまり評判を聞かない展覧会だったが、面白そうなので行ってみた。

幕末にヨーロッパからもたらされた写真技術と絵画との邂逅がテーマだ。写真と絵画が突然の事故のようにぶつかり合い、狼狽し、影響し合いながらそれぞれの身の処し方を模索している様子を垣間見ることができて興味深かった。当初の風景写真や人物写真に浮世絵の影響を受けたアングルのものが多かったという事実には、なるほどと思った。また、写真に油絵で着彩する技法を編み出し特許まで取った話や、手書きの画面の中に写真を貼り込んだものなど、今見るとちょっとグロテスクで稚拙にも思える表現が試みられていたことも知る。
いずれも見たものを写し取ることと思い通りに表現したいという欲望との狭間で生み出された手法だったのだと思う。写真と絵画が未分化な時代の話である。
会場だった江戸東京博物館は、気の進まない施設だ。特に特別展の会場やミュージアムショップのある1階のアプローチは最悪である。殺伐としていて気分が滅入る。外国からの旅行者の人気スポットにもなっているようだが、何とかならないものだろうか。

(by segawa)